さよなら先輩

19.さよなら先輩

ある日突然、ある金融会社から我々が勤めている会社に給料差押えの依頼が来た。
私ではなく金借先輩にだ。

 

会社の経理とその業者との話し合いで、金借先輩の毎月の給料の20%を会社から直接その業者に支払うことになった。
先輩としては、手取り額が20%減るわけだ。
借金しているのはその業者だけではなかったので、相当キツかったはずだ。
上司にもこってり絞られ、もうこれ以上借金はしないと約束させられたらしい。もしどうしても支払いなどでお金が苦しくなった時は会社から借りて、給料から天引きという方法で返済することになった。

 

さすがの先輩もそれからはおとなしくなり、私も相方を失くしたのでおとなしくなった。
月に1回程度、激安の居酒屋に行く生活になり、希望は全然ないが、ある意味落ち着いた日常になった。

 

ところが数ヶ月後、先輩は仙台へ転勤することになったのだ。
借金の件が影響したのかどうかは定かではないが、たぶん転勤理由のうちのひとつだっただろうと思う。

 

金借先輩との別れは本当につらかった。
転勤を言い渡されてから1ヶ月もしないうちに先輩は旅立ってしまった。

 

借金の方法や心構え、仕組みなどをすべて教えてくれたのは金借先輩だった。
借金などしないに越したことはないのだから、そんなものを教えるなんて悪い先輩じゃないか!っていう考え方もあるけど、借金によって一時的にではあるが豊かに楽しい時間を過ごせる。それはそれでひとつのライフスタイルだと考えられる。
それを教えてくれたのは、金借先輩だったのだから、私からすれば恩人と言ってもいい存在だ。

 

最後はふたりとも厳しい状況に陥ったが、とにかく金借先輩ともう一緒に遊びに行けなくなったという事実が何よりもつらかった。

 

私の人生のうちのひとつの時代が終わったのだった。

 

さよなら先輩

 

 

 

 

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