魅力的な先輩との出会い

5.魅力的な先輩との出会い

そうこうしているうちに単身赴任先の職場で、5つ年上の先輩と仲良くなった。
その金借泰造【かねかりたいぞう(仮名)】先輩はお酒を飲むのが大好きで、よくしゃべる楽しい人だった。
少々強引なところはあるけれど、一瞬で場の雰囲気を明るくできる才能があった。

 

お客さんからクレームの電話がかかってきたら、誰も出たくはないのは当たり前だが、
金借先輩は率先してそのクレーム電話を引受けて対応していた。
そして持ち前の明るさでそのクレーム客と仲良くなってしまうのだ。

 

当然社内でも人気があった。
セクハラおやじと呼ばれながらも女の子にも好かれていて、
いつも周りに人がいるような人だったた。

 

 

ある日私が残業していると金借先輩も残業していて、事務所には二人だけになった。

 

ある程度夜も遅くなってきた頃、先輩が話しかけてきた。
「お前はこっちに来てまだ日が浅いから知らないだろうけどな、
残業してる者はこれを飲んでもいいんだぞ♪」
と満面の笑みを浮かべながら、冷蔵庫から缶ビールを出してきた。

 

お中元として会社がもらったビールなのだが、
ここの事務所では残業お疲れ様で、飲んでもいいという暗黙のルールがあったらしい。

 

当時の私はそんなにお酒は飲まないほうだったが、
社内で一番人気の先輩からの誘いなので有難く乾杯した。

 

二人ともちょっと休憩ということにして、
空いてる席でいろいろしゃべりながらビールを飲んでいると、
話が盛り上がって、いつの間にか二人で10本近く飲んでいた。
その後は仕事などできるはずもなく、予定していた仕事をやり残してそのまま帰った。

 

 

予想通り次の日も残業する羽目になった。金借先輩も同じ状況だった。

 

嫌な予感がしたが、その予感は当たった。
またもや会社で酒盛りになってしまったのだ。
しかも冷蔵庫に残っていたビールを全部のみ尽くしてから帰ったのだ。
(仕事もやり遂げました!)

 

その時は楽しい残業で終わったのだが、数日過ぎた朝、
始業前に金借先輩のさらに先輩から我々二人は別室に呼び出された。
「お前ら二人この前二日続けて残業してただろう!
その時冷蔵庫のお中元のビール飲んだだろう!!
お前ら以外にここ数日残業したやつはいないんだから、お前らに決まってるんだ。
残業してるんだから1本や2本はいいけどな。
お前ら全部飲んだじゃないか!!!飲みすぎだろぅ!!!!」
その大先輩は、全員のタイムカードをチェックして、誰が残業してたかを調べ上げ、
金借先輩と私だと確信していたのだ。

 

たっぷり叱られたが、皆の前ではなく別室に呼び出されてのお叱りだったので、
その大先輩も気を遣ってくれていたんだなと感謝しながら、
3人で朝礼前の部屋に戻ったら、いきなりその大先輩が大声で言い出した。
「こいつら二人、お中元のビール全部飲んでしまいやがったぞ!!」

 

残業もビールも縁のない女子事務員達は笑っていたが、
大先輩の腰ぎんちゃく男は、ここぞとばかり声高に我々を非難した。
皆から人気の金借先輩に日頃から嫉妬していた奴だ。

 

我々は返す言葉もなく、しゅんとしているしかなかった。

 

しかし、二人してそんな目にあったことが金借先輩と私の絆を強くした。
一緒に失敗したとか、一緒に悪いことをしたとか、
そういうマイナスの体験を共有すると人は仲良くなる、
という法則を聞いたことがあるが、まさにその法則どおりだった。

 

そして、金借先輩と私はその後、社内一の名コンビと呼ばれるような二人になっていった。

 

社内一の名コンビ

 

 

⇒6.先輩の裏の顔

 

 

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